【Column】
コザの天ぷら【コツのいらないアジア音楽】Vol.23
きっかけはサバ番!
カタログをめくるようにサバ番を見てみよう

アジアのサバ番、見たことありますか?

日本は秋フェスシーズン真っ盛り!台湾をはじめとしたアジアのアーティストの名前を全国各地の音楽フェスのラインナップ中にちらほら見かけるようになりました。…とは言っても、島嶼沖縄、行きたい→行こう!と気軽に飛行機に飛び乗って全国各地に訪れるのは簡単ではないものですよね。

そんな地方民の音楽好きの情報収集のアイデアの1つになるのが、音楽サバ番=音楽サバイバル(リアリティーオーディション)番組です。皆さんは何を思い浮かべますか?
私はモーニング娘。やCHEMISTRYのデビューをリアルタイムで見ていたASAYAN世代。当時、ASAYAN翌日の友達との話題は、応援している人の活躍や、落第予想など、テレビの中のオーディションの動向に熱中していたのを覚えています。
10代20代の若い子だとJO1やINIといった沖縄出身メンバーもデビューを勝ち取ったPRODUCE 101 JAPANを思い浮かべる人も多いでしょうか。国内のアイドルシーンを注視しているわけではないサクライでも、熱狂の外側から、音楽サバイバル番組の盛り上がりを感じるほどですので、番組に❝推し❞がいるリスナーは朝から晩まで勉強や仕事に“推し活”に大忙し!という姿が想像できます。

Move The Soul /JO1(川尻蓮・川西拓実・金城碧海・河野純喜・與那城奨).
2019年に放送/配信された音楽公開オーディション番組 PRODUCE 101 JAPANでデビューを決めたアイ
ドルグループ。メンバーの與那城は沖縄県出身。

 

音楽サバ番は日本だけでなく、韓国はじめ各国で盛り上がりは想像に難くないですが、“踊って”、“歌って”、グループデビュー!……だけではない音楽サバイバル番組が各国の配信プラットフォームやYouTube配信で(人気の大小あれど)放送/配信されています。
アジアの音楽に注目しはじめてから、各国のサバ番も少し気になり始めたサクライ。番組にどっぷり浸かるとまではいかずとも、番組をカタログ代わりに、新しいアーティストのdigしてみませんか?ということで、サバ番をきっかけにサクライがdigった作品をピックアップしてご紹介します。

台湾→大嘻哈時代The Rappers

大嘻哈時代2 The Rappers2の番組プレイリストはこちら

 

台湾で大人気のヒップホップリアリティー番組大嘻哈時代The Rappers。最新シリーズは第2シーズン。つい最近、第3シーズンの制作予告?匂わせ投稿が公式SNSから為され動向が気になるところ。この大嘻哈時代The Rappers、最新シリーズでは日本語字幕も表示されることから、インディーズ好きな日本人リスナーにとっても“初めてのアジアのサバ番”として視聴しやすい番組といえるでしょう。
若い世代に人気のある艾密莉AMILI &Quanzo林潔心 ddkogi88の出演(来年1月沖縄市で開催のMusic Lane Festival Okinawa 2025で来沖公演あり!)や、日本人ラッパーSheng Taiや日本人兄弟ユニットEAERANが出場しています。

皮蛋 / BAYA 小林航 & EAERAN & Sheng tai
台湾発の多国籍レーベル・ChynaTownより、台湾と関わりのあるラッパー達で制作された日本語と中国
語によるサイファー楽曲。台湾を拠点とする大阪出身の日本人ラッパーSheng tai、中華圏で人気絶大
な日本人男性2人組ユニットEAERAN(英亜英蘭)、台湾で音楽と勉強に励む大学生ラッパーBAYA 小林航
のコラボ(コライト)曲。3組の台湾と日本を行き来する人生経験から、それぞれの風景や言語、習慣
についてを、自由なスタイルで表現。日本語と中国語、更には英語も織り交ぜたLyricに、畳み掛ける
フロウから歌い声が特徴なフロウまで、様々な表現方法を一曲の中に編み込んでいる。

 

韓国→SUPERBAND(슈퍼밴드)

SUPERBANDの番組プレイリストはこちらから

 

K-POP人気の衰え知らずの韓国。このコラムを書いている最中にも、韓国初のヒップホップに特化した音楽サバ番の制作発表もニュースに。アイドル サバ番活況の韓国で2019年に放送/配信されている、名前の通りロック“BAND”のサバ番。最新作はシーズン2。ボーカル • ギター • ドラム…など各グループ・各パートからメンバーを篩にかけ、最終的にスーパーバンドを結成するという珍しいスタイル。(日本で過去テレビ番組企画でデビューしたバンド ロードオブメジャーを思い浮かべた人はサクライと同年代ですね)

この番組シーズン1で特徴的だったのは、優勝バンドだけではなく、その後、準決勝•決勝進出を果たしたバンドほとんど全てがデビューを果たしたこと。音楽サバ番の企画フォーマットの強さ、メディアの影響力を感じるとともに、音楽にはリスナーの存在も必要不可欠なのだと改めて感じた番組。

falling flower / LUCY (動画00:12:00〜)
今年2024年には2度来日公演を行ったSUPERBANDシーズン1準優勝バンド。メンバーはボーカル&ギター
の최상엽 / チェ・サンヨプ、ドラム&リードボーカルの신광일 / シン・グァンイル、バイオリンの신예찬 
/ シン・イェチャン、ベース&ギター조원상 / チョ・ウォンサンの4人。準優勝当初のボーカル脱退、デ
ビュー前にバンド継続が危ぶまれるも、オーディション1次脱落の チェを新ボーカル(&ギター)に
迎えデビュー。大きな特徴ともいえる流麗なバイオリンの旋律と、ボーカル2名の澄んだボーカルワー
クが映えるドラマチックな1曲。

 

番組が終わった後も、メンバーとの関係性や課題に立ち向かいながら、それぞれどう作品に昇華し、さらなる素晴らしい作品をリリースしているかも見どころのサバ番ウォッチ。インディーズな音楽を好むリスナーにはサバ番に苦手意識を持つ人も少なくないですが、番組の作る企画やストーリーのみにとらわれずに、様々なアーティストの作品に出会うきっかけにしてみてくださいね。

ではまた次回。

 

筆者紹介
サクライアヤコ:沖縄本島やんばる在住。アジア圏のインディペンデントな音楽を愛聴する、コラム・エッセイスト。 Music Lane Festival Okinawa 2025応援団(MLFO2025playlist随時更新!)
Instagramにて、邦楽アーティストとアジア圏のアーティストのコラボ(コライト)曲に特化した楽曲レビューを不定期更新中 。

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