コザの天ぷら【コツのいらないアジア音楽】35
1日往復14便!那覇から片道〇時間で到着する台湾のフェスへ!
野人祭SAVAGE FESTIVALレポート<前編>

今回は、2025年4月に台湾 台北市の華中キャンプ場で開催された音楽フェスティバル 野人祭SAVAGE FESTIVALの現地レポートを、写真たっぷりにお送りします。(前回の主催者蕭達謙Echo Hsiaoのインタビューはこちらから)

会場中を練り歩く音楽フェスの名物カーニバル

はじまりは1通のメッセージ

2025年3月、私は悩んでいた。4月最終週に行く台湾のフェス旅を金曜土曜で行くか、土曜日曜で行くかと決めきれずにいたさなか、1月沖縄市で開催されたMusic Lane Festival Okinawa 2025で出会った野人祭SAVAGE FESTIVALのブッキング担当Ranieからの「野人祭においでよ!」と粋なお誘いの便りが届いた。

そういえば…私が台湾の音楽フェスに本気で行きたいと、初めて飛行機を調べ、ホテルを調べたのは、2022年の野人祭SAVAGE FESTIVAL。当時の参加は叶わなかったけれど、諦めきれなかった私は2024年に当時のデリゲーツのPOWに「(コロナ禍で中断していた)野人祭SAVAGE FESTIVALの再開予定はありますか?」とメッセージを残したほど、思い入れも未練もある音楽フェス。

新年度4月の仕事を逆算し、行くと決めたからにはどれだけ忙しくとも、絶対に飛行機に乗ってやると仕事のスケジュールの中に休みをこじ開け、台湾滞在45時間の弾丸の台湾フェス参加と相成りました。

台湾の音楽フェスにいくための事前準備

今回は雨予報でしたので、レインブーツ、防水スマホケース とジップロック、浄水機能付きの水筒を買い足しました。(台湾現地の友達、アドバイスサンキュー!)

台湾の空港に着いたら


前回の台南まで片道11時間移動が嘘のよう…那覇空港から台湾のフェス会場まで100分で到着です。*空港での入国審査の時間は除く

都心の直ぐそば&郊外型。いいとこどりの会場

実は台湾も日本と同様に音楽フェスは少し郊外、立地的に少し不便なところで開催されているものが多いのですが、今回の会場は日本人に人気の観光エリア台北市西門にさえ辿り着ければ路線バス乗り継ぎ無し1本で会場に到着できる利便性の良い会場です。スマホがないと厳しい海外ひとり旅、都心から近い会場のおかげで、通信電波を心配しなくて良いというのは、なんと心強いことか!

到着すると三ツ矢のフラッグがお出迎え

入場するとRanieに代わり広報スタッフさんと通訳さんが、特別にフェス装飾や、アクティビティについてのこだわりポイントを丁寧にサクライにレクチャーしてくれました。その中でも、気になったのは全部で5つあるステージの中でも第2のステージ 獅吼 舞台の装飾について。

“今回のステージ装飾はね、廃材で飾り付けられていているの、見て!!”

スタッフさんの指さす先にあるのは、なんとタライ桶!その周りには電球カバーがお花のように散りばめられ、ステージ全体を換気用ダクトが伝っています(この第2のステージは特にキッチンの廃材を中心に素材を選んだそう。こだわりっぷりが面白い)。野人祭SAVAGE FESTIVALも、前回サクライが参加した浪人祭Vagabond Festival同様、環境に優しいフェスティバルを銘打っています。リユース食器でのフェス飯の提供だけではなく、今回は各ステージが様々な廃材で飾り付ける試みが行われていました。廃材と言われるまで気が付かず、これが本当に廃材なのかと不思議に思うほど。

“夜になったら改めて装飾に注目してみて。ガラっと雰囲気が変わってびっくりすると思う!”
(夜の様子は後編でご紹介♪)

レクチャーを受けた後は、3人で互いに好きな日本のアーティストや台湾のおすすめアーティストについて話をしながら、台湾のハーブ仙草茶で割ったフェスオリジナルのカクテルで乾杯し、お仕事中の2人とはここでお別れ。このあと彼女たちは空港に到着した日本のバンドJohnnivanを出迎えに空港行きの送迎車へ乗り込んでいきました。

今回のために開発されたカクテルを持つお客さん

いよいよスタート!

トップバッターを飾る台湾の若者に人気のバンド 福夢FUMON

別れ際、今回のフェスのトップバッターを飾る、台湾の若い世代に熱狂的支持者が多いスリーピースバンド、福夢FUMONを観ていくべき!と2人に教えてもらったこともあり、会場全体を見渡せる小高い場所にある第3ステージ豹武郎舞台のシートエリアから様子を見ていると、確かにリハーサルから熱心にステージを見るファンが多いこと!男性ファンも女性ファンもメンバーの衣装に似せて上下黒ずくめの装いで、日本のビジュアル系バンドのライブに来たかのような気分。

福夢FUMON

福夢FUMON

楽曲は退廃的なメロディアスさもありながら、横揺れを誘うR&B的グルーヴも取り入れられていて心地よく、その一方で激しいヘッドバンキングもあり、バリエーション豊か。アーティストの魅せようとするフェティシュさもよくツボをついているな、と感心していると、背後のステージでは、新進気鋭のラッパー2CHANGEのステージがスタート!少しパンチのある口撃的さと、人間らしく葛藤し揺れ動く感情を歌詞に乗せて披露していて、野心溢れるステージ。
2CHANGEの楽曲にコラボしているラッパー山姆someshiitAMINATOもステージに登場し、会場の方々から観客が集まり始めてきた。私も慌ててステージ前に陣取る。3人は、同じヒップホップクルーで台北を拠点に“Knowtis”で活動中。攻撃的なタイトめのフロウから、哲学的なポエトリーラップまで、3人のラップのスタイルは驚くほど違えど、互いの拍の取り方やフロウのタイミングに仲の良さを感じ、程よく緊張が解け和やかだ。2CHANGEはMCで、大きなフェスのステージに初めて出演できたことへの感謝と想いを観客に届けていた。

2CHANGE

このステージではさらに驚いたことが。サポートDJとして3人の背中を預かっていたのが、HUGOだったこと。HUGOは2023年、沖縄で開催された音楽フェス“の上フェスティバル”で沖縄でライブステージを披露していた、その彼です(沖縄の皆さん覚えてますか?)。

サポートDJは2023年那覇 波の上フェスティバルでステージに立ったHUGO

沖縄ゆかりの出演者の多さに注目!

改めて出演ラインナップを見てみると、今年1月に開催された沖縄の音楽フェス、Music Lane Festival Okinawa 2025をきっかけに出演が決定した沖縄のTOSH(band set)や東京を拠点に活動する多国籍バンドJohnnivanだけではなく、過去沖縄でライブを披露している台湾のバンド 緩緩 Huan Huan にBB彈ORANGERANGEのかつてのレーベルメイトである沖縄のSKAバンドAll Japan GoithとCDを共同リリースした台湾のSKAバンド Skaraoke…と、沖縄にゆかりのある演者のなんと多いこと…!!!!

日本、特に沖縄の音楽好きには是非知っておいてもらいたいフェスと言ってもいいでしょう。(なにせ、沖縄台湾を行き来する飛行機が1日驚きの14便あるのですから!

音楽フェスなのに…ステージそっちのけで遊べるアクティビティ

出発直前のカーニバル

前回の連載でお届けした主催者蕭達謙Echo Hsiaoのインタビューにもあった通り、この野人祭SAVAGE FESTIVALは観客参加型のアクティビティが満載。ヒーリングヨガや、アウドドアチェアのワークショップ、チャンバラ大会、ミニサッカー、アーチェリー、サンバのリズムを奏で練り歩くカーニバル、終演後はキャンプファイヤーにファイヤーダンスと、見ているだけで楽しい。勇気を出して参加してみると、もっと楽しい(笑)アクティビティが盛り沢山。

「今、何をしているの?」とフェスのオリジナルグラスを片手に、スマホの翻訳アプリとカタコトの英語を駆使しながら、身振り手振りで台湾の人とコミュニケーションをとるのも非常に面白いものです。

キャンプファイヤーの火を囲み、ライブの感想を交換する楽しいひととき

-台湾のフェスに行きたくなってきましたか?後編では、野人祭SAVAGE FESTIVALで見た印象的なステージの様子をたっぷりお届けします。お楽しみに。

写真協力:笨道策展有限公司 https://www.youtube.com/@DustpannerMusic

サクライアヤコ:沖縄本島やんばる在住。アジア圏のインディペンデントな音楽を愛聴する、コラム・エッセイスト。 Music Lane Festival Okinawa 2026応援団

Instagramにて、邦楽アーティストとアジア圏のアーティストのコラボ(コライト)曲に特化した楽曲レビューを不定期更新中

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