去る 2/28 から 3/2 の 3 日間、タイ・バンコクにて国際ショーケースフェスティバル「Bangkok Music City 2025」(以下、BMC)が開催された。
今回の BMC では自身のインストロックバンド「Faustus」で演者として参加する機会に恵まれた。
ショーケースフェスに出演する演者として、参加にあたってどのようなことをおこなったのか、そして、どういう結果が得られたのか、ということを、以前書いたコラム「ショーケースフェスティバル参加の心得」に照らし合わせながらお伝えしたい。
今回はその後編をお届け。
※前編・中編は以下のリンクからご覧ください。
前編：https://musiclaneokinawa.com/archives/56079
中編：https://musiclaneokinawa.com/archives/56119
前コラム内「ショーケースフェスへ出演するにあたりやっておきたいこと」に対して今回実施したこと
事後フォロー
継続してDelegatesへアプローチを続けていきましょう。自分たちのライブを観に来てもらえていたら御礼メールを送り、観に来てもらえてなくても当日のライブの様子を撮ったビデオなどを送り、コンタクトを取り続けましょう。
(前コラムより引用)
・御礼メール送付
BMC終了後、翌日の月曜には、BMC主催者チーム、BMCスタッフチーム、事前にメールを送っていたDelegates、ライブに足を運んでくれたDelegatesに御礼メールを送った。
御礼メールには、再度、音源リンク、SNSリンク、EPKリンクを載せ、僕らの情報に手間なく辿り着けるようにした。
Credit：Mom’s cap
数人のDelegatesからはメールへ返信があり、さらにそのうちの数人はBMC後もバンコクに滞在しているということで、バンコクでの対面ミーティングの打診をもらった。僕は都合がつかなかったため、ミーティングにはメンバーに行ってもらった。
ミーティング後、メンバーから簡易報告が入る。ミーティングした数名のDelegatesより、それぞれ違う地域でのタイ国外ツアーについて話があったとのこと。
もちろん、実現までには多くの障壁があり、Delegatesともメンバーとも協議を重ね、ひとつひとつの壁を越えていかなくてはならない。決して一般受けするとは言えない音楽をやっているので、Delegatesとしても扱いは難しいだろうし、簡単な道のりではない。ただ、BMCに出演したことで機会に恵まれたバンドのひとつにはなれたのだと思う。
・BMCからのアンケートへ回答
BMC主催者から出演バンド・アーティスト向けにアンケートが送られてきた。次のBMCに活かすため、今回の運営についてどうだったか、改善点はあるか、などなど事細かに項目が用意されていた。参加させてもらった感謝もあるし、次のBMCがさらに良くなっていくよう願っているので(今回も充分素晴らしかったが)、すぐに回答した。
・今後のフォローアップ
– 短期 (実施済み)
BMCでのライブのビデオが数曲分ある。その中で、比較的新し目の曲のビデオを選び、簡単な編集をし、YouTubeにアップした。YouTubeにライブビデオをアップしたことをSNSで宣伝しつつ、DelegatesにもYouTubeのリンクを送付した。
– 中期
現在、ニューアルバムの制作を進めている。アルバムが完成したら、今回のBMCのDelegates含め、日タイ内外の音楽関係者に音源を送付する予定だ。他にも、MVやライブビデオをリリースしたら、都度、送付していく。
このような際、連絡先リストを作成しておくと送付作業を効率化できる。送り先の選定もすぐにできるし、送り漏れもなくなるし、誰に送ったか管理ができる。また、どういう反応が返ってきたのか記録しておけるので、その先の計画を進める際にも役に立つ。
去年、4年ぶりのリリースとなったFaustusの楽曲「Lacrimosa」。こちらのリリースの際も、所有している連絡先リストを活用した。日本の音楽関係者(バンド・アーティスト、レーベル、ライブハウス、フェス、イベント、メディアなど)には日本語で、タイの音楽関係者にはタイ語で、その他の国の音楽関係者には英語で、約200ほどの宛先に各言語でリリース情報を送付した。
今後、今回のBMCで新たにリストに追加した音楽関係者へもリリース情報などを送付していく。
– 長期
タイ国外ツアーを狙っていく。タイ国外ツアーの声掛けをしてくれているDelegatesとは、今後、具体的にプランを練っていく。前述の通り、実現までにはまだまだいくつもの段階が控えている。密に連絡を取り合い、こちらがもらうばかりでなく相手にも利を取ってもらい、長期的で良好な関係を築き、このチャンスを現実にしていきたい。
Credit：Bangkok Music City
まとめ
「今回のBMCにおいては」という前提があり、毎回同じ結果を期待できるわけではないが、当コラムのテーマである「以前書いたコラムの内容を実際にやってみたらどうなるか？」という点において、結論を単純化すると、「成果(機会を得ると言う意味合いで)を期待できる」となった。
ショーケースフェスに応募し、出演が決まったからには、やれること・思いついたことは全部やってみるのが良いと思う。色々とやってみても上手くいくとは限らないし、何もやらなくても上手くことが運ぶこともある。ただ、そのときの出来る限りのありったけを注げば、上手くいってもいかなくても、次にやるべきことが見えてくるはず。
今後、ショーケースフェスに参加されるバンド・アーティスト、レーベル・マネジメント関係者の方々には、成果を最大化できるよう、色んなことを試しながら、海外進出の糸口を掴んでいって欲しい。上手くいったら、そのアイデアを僕や他の皆にも共有してもらいたい。
最後に、開催を決断しオーガナイズしてくれたBMC、BMCの重要性を理解して協賛してくれたパートナーやスポンサー、事前準備から当日に至るまでスムーズに運営をおこなってくれたスタッフチーム、音楽が持つ可能性を体現したバンド・アーティストの皆さん、真剣な眼差しと勇気ある覚悟でバンド・アーティストを支援するためにタイ国内外からやって来たDelegatesの皆さん、BMC開催期間を熱気で包んでくれたオーディエンスの皆さん、全ての関係者に感謝を述べたい。来年以降の開催も切に願っている。
■執筆者紹介
Ginn
タイ・バンコク在住15年。タイ人メンバーと結成したポストハードコアバンド「Faustus」で自身でも音楽活動をしつつ、日本とタイのインディーズシーンを支援するためのレーベル「dessin the world」を主宰。「日本の音楽をタイに。タイの音楽を日本に。」をコンセプトに、日・タイ音楽交流のための草の根活動をおこなっている。
● dessin the world
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● Faustus
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