ショーケース・フェスティバルは、日本ではまだあまり馴染みがありませんが、フェスティバルやライブハウスのブッキング担当者など、多くの音楽関係者が、新たな才能を求めて集まるイベントです。今回のショーケースには、国内40組、海外66組のアーティストから応募がありました。最終的に合計44組（沖縄：16組・日本国内：14組・海外：14組）の出演が決まりました。ジャンルもバラエティに富んでおり、実力と可能性を兼ね備えたアーティストばかりです。一般の音楽ファンにとっても、新たな音楽的な発見のあるフェスティバルになるはずです。

コロナ禍以前から、アジアの都市において、ショーケース・フェスティバルの重要性は高まっていました。出演アーティストとDelegates/デリゲーツと呼ばれる音楽関係者のマッチングなどを通して、インディペンデント・アーティストの、海外の新たなマーケットに向けた仕組みとして定着しており、世界的成功をおさめるアーティストも登場しています。

韓国・ソウルの「Zandari Festa」、台湾・台南の「LUCfest」、タイ・バンコクの「Bangkok Music City」、オンライン開催から立ち上がり、昨年オフラインで初開催された「ASEAN Music Showcase Festival」。こうしたフェスティバルには、自国のバンドだけでなく、インディペンデントで活動を行う多くの海外バンドが積極的に参加しています。音楽関係者とアーティストと直接やりとりをして情報を交換し、フェスティバルやツアーのオファー、新たなコラボレーションといった具体的な動きにもつながっています。新たな音楽のインキュベートの仕組みとして機能を始めているのです。

世界のショーケースの草分け「SXSW」（アメリカ）で音楽部門のトップを務めるJames Minor氏は、ショーケースへの出演について“Investment（投資）”だと話します。ショーケースでは、旅費や出演料が支払われることはまれです。それだけアーティストの負担も大きいわけですが、国際的な音楽コミュニティの中で新たな関係性を構築し、アーティストや新たな音楽ファンと交流を深めることができるということは、”投資“に見合った大きなメリットと言えます。

「Music Lane Festival Okinawa 2023 / Trans Asia Music Meeting 2023」は、日本においてその先陣を切る国際ショーケース・フェスティバルです。沖縄市（コザ）から、アジアを結ぶ新たな音楽シーンのムーブメントを生み出していきます。

“Trans Asia Music Meeting(TAMM)”は、沖縄発でアジアの音楽ネットワークを構築するための音楽カンファレンスです。2016年のスタート以来、アジア各国のdelegates(デリゲーツ)/ 音楽関係者を招き、関係を深めていくとともに、沖縄経由で多くのアーティストを海外に送り出すきっかけづくりを行ってきました。

今回はパンデミック直前の2020年2月に開催して以来、3年ぶりのフルスペックでの開催です。フェスティバルのオーガナイザー、ライブハウス、プロダクション、メディア、レーベルなど、アジア各都市でインディペンデントな音楽に関わる20人以上のdelegatesが集まります。ショーケースや直接的なミーティングを通してアーティストを紹介し、沖縄 / コザ発で新たな音楽ムーブメントを発信していきます。

一般の音楽ファンにとっても普段のフェスとは異なる新たなシーンを体感できる場になるはずです。アーティストやdelegatesとの交流を深めてください。