【リポート】SNS全盛の今、必要不可欠なPRマインドについて考える
ーMusic Lane Open Lecture Vol.7

 

 

2020年代、ドラマティックに変化を続ける音楽シーンにおいて、沖縄からより広く、より遠く、より多くの人に音楽を届けることを目指すレクチャー第7弾が、2022年2月21日(月)、22日(火)の2日間、ミュージックタウン音市場とてんぶす那覇3F会議室で開催されました。今回も、多くの参加者が集いました。

 

第7弾の講師は、田中デイビーズ智子さん。インディペンデントで活動するアーティストのSNS運営他を手掛け、エンタメサイト「Onigiri Media」を運営するフリーランスPRエージェントですが、今回「PRとはナニか?」、「時代はプロモーションからパブリックリレーションへ」、「メディアに取り上げてもらうことの意味」などをテーマに、約1時間レクチャーしました。

 

田中さんは冒頭で「今日は、SNSのテクはお話ししません。SNSの考え方、向き合い方、捉え方を中心にお話します。説明書じゃなくて、SNSを扱う大切や考え方を学ぶ時間になれたらと思います」と前置き。さっそく本題に入ります。

 

「SNS運営やwebメディア関連でよく聞く悩み」として、「フォロアーが増えない」、「投稿してもリアクションがない」、「告知以外何を投稿したら良いかわからない」、「資料を送ってもメディアに載らない」などがあげられると田中さん。「それらの問題を解決するのがPRの考え方であり、PRマインド」だと話します。

 

PRは「パブリックとリレーションすること。私を取り巻くあらゆる全ての事と良い関係を作り出すための考え方および行動のこと」と説明した上で、「何かを売り込むため、知らしめるために行うのは『プロモーション』(宣伝・広告)。プロモーションは短い時間で出来るが、『PR』(パブリック・リレーション)は、アイディア一発でできるものではない。日々の積み重ねが大事」と示します。

 

「例えば、チラシやDMは『プロモーション』。地域の祭りの手伝い、駅回りの掃除をすることは『PR』。女性が化粧の下地(PR)ができてないのに、いきなり口紅(プロモーション)してもおかしいでしょう。下地があってはじめて、きらびやかな化粧ができる」とわかりやすい例を上げながら参加者に説明します。

 

 

 

「SNSを利用したPRの基礎的考え方」については、第1に「時代はプロモーションからパブリックリレーションズ(PR)へ」をあげました。いままでメディアを通してつながる事しかできない人とSNSを通じてダイレクトに繋がれるようになり、一方通行な情報発信ではなく、日頃のコミュニケーションが企業や有名人の印象や好感度を左右するようになったため、彼らがプロモーションだけではなく、PRにチカラをいれるようになったと、田中さん。

 

第2は「SNSを利用したPRの基礎は、良好な人間関係を築くのと似ている」と話し、「だまっている人に人は寄り付かないし、話の輪も広がらない。関係性の薄い人から『これ買って、これ聞いて』と言われても、誰も見向きもしない。不特定多数を相手にしたコミュニケーションというマインドをベースに考えて」と呼びかけます。

 

最後の第3については、「たまにしか投稿しないアカウントはフォローもされないし、フォロワーも増えない」とレクチャー。「投稿するタイミングと投稿内容も重要。日頃の挨拶や会話、関係性があってはじめて、人は他人の話に耳を貸す。告知しかしないアカウントは、そのうち誰も見なくなり、せっかくの告知もスルーされる。一見フォロワー数が多いアカウントでも、実際にリアクションを行う人やコメントをしてくれる人はわずかというアカウントはよくある。幽霊部員の多い部活やサークルなどで、何かをしても盛り上がらないのと似ている」とズバリ言及。

 

SNSについては、最後に「SNSを利用したPRの基礎的考え方は『コミュニケーション・マインド』。それを踏まえた上で、それぞれの媒体の特性やそこに集まる人たちの傾向、ウケるネタの方向性などを調査し、専門的なテクを使って運用することが大事。広告だけでなく、パブリックとのリレーション、コミュニケーションを大切にしてくださいね」とレクチャーしました。

 

 

後半のテーマは「メディアに取り上げてもらうことの意味」。

SNSが情報発信の主流である時代に、メディアに取り上げてもらうことの意味として「webメディアの場合、ファンは知りたい記事のみにピンポイントでアクセスするため、新規の俯瞰の誘導導線にはあまりならない」ことを第1にあげました。

第2には「メディア掲載は、客観的な視点からの評価。ファンやフォロワーだけでなく、第3者(メディア)が興味を持っていることの証明になる。海外で何かをする場合、メディアの掲載例を求められる事もある」ことを紹介。「メディアで取り上げてもらうことは、自分たちの価値をあげ、活動の幅を広げるきっかけになる。とても重要です」と話しました。

 

最後は「メディアに取り上げてもらうためには」。

メディアの種類を一挙に紹介し、そのなかでwebメディアについて「視聴や読むことができるエリアが広く、マスメディアよりも情報を取り上げてもらえる可能性が高く、ハードルが低い。インディペンデントで活動する人にとって狙い目」と話します。そして、「広告出稿やマッチする情報、ニュース性、話題性など、webメディアがどのように運営されてどういう情報を取り上げるのか知ってください。大手メディアでは1日1000件を超えるプレスリリースが届きます。それなりの文章力やテクニックが必要です」などと、メディアに取り上げてもらうための方法を次々と示します。

「PRに必要なのは、コミュニケーション・マインド。SNSやPR運営にはそれなりに時間が取られるし、コミュニケーションが苦手な人もいるはず。そこをどうクリアしていくかが、SNSやPR運営の1つの課題となる。また、コミュニケーションが上手くてもPRが上手くいくとは限らない。マニュアル的に誰もが同じようにすれば良いというわけでもない。自分たち用にカスタマイズが必要です」と、今回のレクチャーを〆ました。

 

レクチャー終了後は、田中さん自ら「SNS運営他お悩みに個別にお答えする1on1ショート・コンサルティング」タイム。参加者が相談する姿が見られました。

 

 

田中さんが運営するエンタメサイト「Onigiri Media」では、「プレスリリースとは何か?」、「どんなプレスリリースが情報を掲載されやすいか?」、「プレスリリースを作成する時のポイント」などをまとめたコラム記事を掲載中。要チェックです!

 

エンタメサイト「Onigiri Media」

https://onigirimedia.com/

 

( Text:小鍋悠 / Haruka Konabe

 

<講師プロフィール>
田中 デイビーズ 智子/ Tomoko Davies-Tanaka

インディペンデントで活動するアーティストのソーシャルメディア運営サポート他を手掛けるフリーランスPRエージェント。サポート例:漫画家 姫川明/明輝 (マンガ「ゼルダの伝説」他 ) 海外向けFacebook 運営/管理 及び 英語PRサポート、写真家 有賀幹夫 (The Rolling Stones Official photographer 他 ) 海外対応等サポート、内モンゴル出身 馬頭琴奏者セーンジャー ソーシャルメディア 運営/管理、コロンビアのメディアBunka Waveイベント「Asian Music Day 2021/2022」日本ミュージシャン・コーディネーション等。エンタメサイトOnigiri Mediaの運営/記事執筆も行う。

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