固めて、足して、混ぜてー交差する沖縄の音楽を視覚的に見てみる
コザの天ぷら【コツのいらないアジア音楽】VOL.37

なんてバランスの取れたCD録だろう!1番上にあるのは沖縄の日本復帰の激動の中、リリースされた沖縄フォーク村の村長である、“世間知らずの佐渡山豊/佐渡山豊”。

沖縄ではおなじみ名盤勢ぞろい

 

展示されているCDを接写してみた

 

他には

・チコンキーふくばる / 普久原朝喜
・うない島 / うないぐみ(古謝美佐子 / 宮里奈美子 / 比屋根幸乃 / 島袋恵美子)
・歌ぬ縁 / 大城美佐子&堀内加奈子
・Nirai Pana / 喜納昌吉
・WAKE UP 琉球! / 宮永英一
・800BEST -simple is the BEST!! / MONGOL800
・KANA GANA / パーシャクラブ
・壱 / 喜友名朝樹
・SAKISHIMA meeting THE BEST  / 新良幸人×下地勇
・六月の雨 / 究極
・ インタリュード/ 与世山澄子
・一期一会 / ジェイクシマブクロ
・Independent / Rude-α
・Ride On / JUON
・飛薬-Flying Drug~沖縄中毒 Vol.2~ / V.A.

・世間知らずの佐渡山豊に収録の「新沖縄音頭」

・沖縄ジャズの名盤 インタリュード/ 与世山澄子

 

…と新旧ジャンルとりどりの沖縄の音楽を余すことなく展示されているこの場所は、沖縄ではなく、なんと台湾!

沖縄から台湾に向かう際の玄関口、桃園国際空港を抱く桃園市の駅からすぐにあるショッピングビル内の文化・アートスペースの一画。名前はA8藝文中心。8月24日まで開催されている企画展の一画にこの沖縄選りすぐり大全的CDが展示されている。沖縄の文化芸能と沖縄の音楽についての企画展「徐徐島聲・來自沖繩(日本語訳:沖縄から徐々に響く島の音)」だ。

7月、台湾を訪れたときに企画展を紹介していただいたこともあり、立ち寄ってみた。

ここは…沖縄?(いいえ、台湾です)

フロアに入ると、沖縄の青い海を想起させる青色とエイサーや琉球舞踊のイラストのパネルがお出迎え。12世紀の儀礼としての歌や演舞から、時代を辿りながら現代に至るまで、島嶼文化的な交流や、貿易拠点として近隣の国々からの影響を取り込みながら、独自のスタイルを確立していったことが丁寧にパネルに記されていた。また、宮廷音楽に欠かせないラッパ、ウシブラ (銅角)やウマブラ (喇叺)をはじめとして平太鼓や締め太鼓、胡弓(クーチョー)をはじめとした二胡などを間近に見ることができ、沖縄でお馴染みの三線やカンカラ三線、手持ち太鼓のパーランクーまで展示される充実っぷり。(これが入館料無料で観覧できるなんて!)

様々な種類の三線と琉球宮廷音楽に欠かせないウシブラ (銅角)やウマブラ (喇叺)

 

・6月の沖縄のラジオ局には欠かせない「六月の雨」。1981年に沖縄だけで、1万5千枚の売上を記録した伝説の高校生フォークデュオ“究極”

 

20世紀後半の近年の沖縄の音楽についても綴られており、私が印象に残ったのは戦後の沖縄の音楽史に欠かせない、キャンパスレコード、マルテルレコード、丸高レコード、マルフクレコードなどの沖縄のレコード会社について。

“沖縄のレコード会社は、民謡から新民謡、ロック、民謡、ポップミュージックなど幅広い音楽ジャンルの録音と販売を行い、多くの才能あふれる地元のミュージシャンをステージに呼び寄せた。これらのレコードレーベルは、米軍の支配下で形成された沖縄の独特な音楽スタイルと日本本島の音楽トレンドを融合させ、独特な音楽スタイルと、沖縄独自の音楽ビジネスモデルを確立しました。例えば、地元沖縄のマーケットを重視すること、レコードを観光やお土産として流通することなどです。沖縄レコードレーベルの活動は、地域文化の保存と普及、そして音楽家の育成という二つの面で大きな役割を果たし、今日の沖縄音楽界の基礎を築いたと言える。”と触れられ、その後沖縄国際海洋博覧会(通称:沖縄万博)以来、90年代以降に訪れた“沖縄ブーム”の到来や、人気バンドBEGINが作品に三線を取り入れ全国的な衆目を集めたことまで丁寧に説明がなされていた。

・「三線の花」BEGIN

 

“ロック”や“Jazz”、“フォーク”などいちジャンルを沖縄で追求し、古典や民謡の枠組みだけでとらえず、近代的なポップスのジャンルとの交わりの中で育まれるオリジナリティの味わいー固めて、足して、混ぜる、そんな楽しさを感じることが出来る企画展だ。会期は8月24日(日)まで。台湾旅行を計画中の方は、空港直通の地下鉄で足を延ばし是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

-インフォメーション-
展示|「世界音樂在A8-徐徐島聲・來自沖繩(日本語訳:A8特別企画 世界の音楽-沖縄から徐々に響く島の音)」
会場|台湾 桃園市 A8藝文中心(A8芸文センター)
アクセス|MRT空港線「A8長庚記念病院駅」で下車し、2階出口から徒歩1分。環球ショッピングモール3階
会期|開催中 ~ 2025.8.24(日)まで
開館時間|火~日 11:00~19:00
**祝日および月曜日休館
料金|入場無料

 

筆者紹介

サクライアヤコ:沖縄本島やんばる在住。アジア圏のインディペンデントな音楽を愛聴する、コラム・エッセイスト。 Music Lane Festival Okinawa 2025応援団
Instagramにて、邦楽アーティストとアジア圏のアーティストのコラボ(コライト)曲に特化した楽曲レビューを不定期更新中

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