【Interview / インタビュー】タイの清涼系ディスコポップ「KIKI」、日本ツアー後インタビュー

 

YouTube に1stシングル「My World」がリリースされるやいなや、「凄いバンドが現れた」とタイの音楽関係者のなかで瞬く間に噂が駆け巡った「KIKI」。今では代表曲となった「Back In The Game」をリリースする頃には、タイの音楽通の間でも話題となっていた。切れ味鋭いギターのカッティングと、甘く包み込むようなシンセサイザーの音色、そして涼しげなのに重量感のある歌声を武器に、タイインディーズシーンを席巻している。

 

 

まだ結成して間もないものの、2022年7月には日本のレーベル「BIG ROMANTIC RECORDS」よりアナログ盤アルバムをリリースし、その勢いのまま2022年9月には日本ツアーをおこなった。

 

 

フェスを含む全5ヶ所を周ったKIKI。日本ツアー中、どのようなことを感じ、どのようなことが印象に残ったのか。ボーカル Heren、ギター Non、ギター Bossにインタビューをおこなった。

インタビュアー、翻訳、文: Ginn

協力: BIG ROMANTIC RECORDSParinam Music

 

 

– 日本ツアーでは、ライブハウスでライブをおこない、音楽フェスティバルにも参加をしました。日本の音楽シーンに触れて感じたことはありますか?

Helen (Vocal): カルチャーショックと言ってもいいくらいでした。演奏中、オーディエンスはとても静かで、集中して演奏を聴いてくれていました。

私はボーカルなので、オーディエンスから受けるエネルギーを常に気にしています。とても集中して聴いてくれていると感じました。最も感銘を受けたことのひとつです。

他にも感動したことは、ライブ中の動画撮影のマナーです。スマホで動画や写真を撮る際、他のオーディエンスの邪魔にならないよう、あまり高く掲げず、胸かあごの下あたりで持っていました。とても素晴らしいことだと思います。オーディエンス同士、お互いに敬意を払っているんだと感じました。素敵な光景でした。

あと、ライブハウスと音楽フェスではオーディエンスの熱量が全然違いました。フェスではほぼ全ての曲で盛り上がり、ドラムの音が鳴っては歓声が上がり、ソロが始まっては歓声が上がりました。ライブハウスでのライブよりもオーディエンスの反応が大きかったです。

さまざまな場所で演奏できたことは大きな経験となりました。どのような場所でライブをしても素晴らしいオーディエンスばかりでした。 本当に感動しました。こうしてインタビューに答えていると、日本のことを思い出して恋しくなります。

 

Non (Guitar): アーティストの作品に対しての真剣さ、心遣い、尊敬を感じました。タイの音楽シーンとは大きく異なります。

 

Boss (Guitar): オーディエンスの皆さんが真剣にライブを観てくれていて大変感動しました。楽しんでいることを表現するため、大きな声を出す代わりに拍手をしてくれて、とても良い経験になりました。皆さんに報いるために、良いライブをしなくては、と思いました。

日本の音楽フェスに関しては、雰囲気や開催場所、フード、ライブ鑑賞の文化など、どこのフェスとも違いました。飛び跳ねたり踊ったり、皆さん楽しそうでした。ライブハウスとはまた違い、でも、皆さん真剣に音楽を鑑賞していました。音楽ジャンルも非常に多種多様です。日本でライブができたことで視界が大いに開け、多くの新たなアイデアをタイに持ち帰ることが出来ました。

僕が感じたタイの音楽シーンと違う点は、音楽ジャンルやバンドが多種多様であること、そして、演奏中は皆がとても真剣に観ていること。
また、日本はタイとは違い、どの地域にもライブハウスがあります。タイでは、ほとんどの場合、バーやパブでライブをすることになります。最近になり、タイでもライブハウスは増えてきましたが、それもまだバンコクだけです。全国的にライブハウスがある日本とは違います。

 

共演した日本のバンドはいかがでしたか?

Helen: KIKIは5ヶ所を周り、それぞれの場所でオープニングアクトと共演しました。大阪ではPictured Resort、京都ではSawa Angstrom、名古屋ではEmptei、東京ではSamoedoです。

日本のアーティストは才能と演奏力で知られているので、日本のバンドと共演することにバンドメンバーは緊張していました。ライブが終わった後は、オープニングアクトのバンドメンバーと色んな事を話しました。どのバンドのメンバーも、謙虚で、ポジティブなエネルギーに溢れていて、素敵な人たちでした。こんなにも素晴らしい友情と良い思い出をタイに持って帰れるなんて、思ってもみませんでした。

日本語でコミュニケーションを取れる人がバンド内にいないので、当初は言葉の壁が心配でした。コミュニケーションを取ることはできるのだろうか、楽しく会話することはできるのだろうか、と。でも、それはただの杞憂でした。お互いGoogle翻訳を駆使しながら、一晩中乾杯してました。共演した全てのバンドに出会うことができ、とても幸せです。

KIKIのメンバー全員と仲良くしてくれて、色んな側面でインスピレーションを与えてくれて、本当にありがとうございました。今回の経験を糧に、バンドと自分自身を成長させていきたいです。

 

Non: 日本のバンドは規律があり、とても才能があります。そして日本人はとても親切です。

 

Boss: 共演した日本のバンドは演奏スキルに長けていました。ツアーで周った各地で、多種多様な音楽ジャンルに出会いました。そして、皆、とても気さくで親切でした。会話をし、交流し、 ハングアウトし、とても楽しかったです。「素晴らしい友情」という言葉しか思い浮かびません。

日本ツアーで共演したPictured Resort、Sawa Angstrom、Emptei、Samoedoは、今ではもう友達です。また日本で一緒にライブをしたいと願っています。

 

 

日本ツアーのなかで一番印象的なことはなんでしたか?

Helen: 一番感動したのはファンの方々、そして共演したバンドです。インタビュー中にも気持ちが溢れてしまい、自分の感情を正確に表現することができないんじゃないかと思います。自分と、この経験を共にした人しか、この感情を知ることは難しいかと思います。とても満たされていて、笑顔が絶えませんでした。素晴らしい友情と良い思い出をタイに持って帰ってこれました。こういった経験は、人生のため、作品作りのため、夢を見続けるために、自分達の燃料となるものです。もっともっと得られるよう、また早く日本に戻りたいと願っています。最高に幸せです。

ツアー中のとある日、喉頭炎のため喉に痛みを感じる日がありました。その日、ライブが終わると、ファンの方が喉の痛みを和らげる薬を持ってきてくれました(その後、実は、その薬を10箱ほど買ってタイに持ち帰りました(笑))。ファンの方は、日本で有名な薬なので試して欲しい、と言っていました(確か龍角散という名前だったかと思います)。ライブを問題なく終わらせるために、喉の痛みをなんとか隠そうとしていました。でも、喉の調子が悪いことが伝わってしまい、心配させてしまいました。ファンの方に感謝しなくてはいけません。

りんご音楽祭では主催のdj sleeperに会うことがありました。とても親切な人でした。イベントの雰囲気も、天気も、そしてオーディエンスも素晴らしかったです。
雨の中、気温17度の森で見るコンサートよりも嬉しいことがありました。りんご音楽祭でのライブが終わり、食事をしに街に出たときのことです。店に入ると、「あなたたちKIKIでしょ?すごく良かった!」と声をかけられました。そのようなことが10回以上ありました。私たちのような小さなバンドを気に入ってくれる人がこんなにいるなんて、胸がいっぱいになりました。

もうひとつ感動したことは、私たちのサウンドエンジニア、サトシさんです。彼は、KIKIの日本ツアーのプロモーターである寺尾ブッタさんの仕事仲間です。サトシさんは今回の日本ツアー5ヶ所全てでサウンドエンジニアをしてくれて、また、その5ヶ所を移動する際の運転もしてくれました。いつも機嫌が良く、忍耐強く、とても素晴らしい人物です。何も言わなくてもバンドが欲していることを理解してくれていて、ライブを重ねるごとに適切に音を調整してくれて、とても感激しました。
寺尾さんとは、日本ツアーの話をし始めた際にはまだ直接会ったことはありませんでした。彼はKIKIとKIKIの作品に絶大な信頼を置いてくれていて、どう感謝していいかわからないほどです。私たちのバンドが素晴らしい機会に恵まれたのは彼のおかげです。日本滞在中は私たちの面倒を良くみてくれました。宿泊や食事、遊びに行く場所、通訳も引き受けてくれました。二人のことが大好きです。早くまた会いたいです。

このツアーでのバンドの団結力にも感激しました。お互いがお互いを気遣い、感じたことを言い合い、アイデアをシェアし、夢も苦しみも分かち合いました。今回のツアーでお互いの心にさらに入り込んだ気がします。私たちのバンドをより屈強にしてくれた人、音楽、場所など、周囲に感謝をしたいです。
私たちは皆、別々の家族のもと、様々な環境で育ち、考え方も異なります。でも、同じ目的に向かい、歩調を合わせることができます。より愛し合うことができます。このツアーのおかげで、その速度が速まりました。チームの皆のことが大好きです。

上記に加え、忘れちゃいけないのは、食べ物、澄んだ空気、清潔さ、それと日本が秩序的であることにも感動しました。私は日本の文化が大好きです。特に食べ物に関して、見たもの全て食べてしまいたいです(笑)。どう説明すればいいかわからないほど大好きです。

 

Non: 食事、清潔さ、空気など、感激したことはたくさんありますが、一番感激したのは、他の国から来た人に対して親切で、敬意を持って接していることです。

 

Boss: 日本の人たちからの友情に感動しました。僕たちのライブに感銘を受けたファンの方が、東京でのライブを観るために長野から来てくれました。しかも、たこ焼きが好きだ、という話を覚えてくれていて、長野から買ってきてくれました。友情を感じました。

このツアーで一番感動したことは、ファンの方々、主催者、日本のアーティスト、皆さんからの友情です。とても素敵な人達でした。

 

 

次回の日本ツアーの際には、どんなことをしたいと思いますか?

Helen: 正直なところ、次のツアーでやりたいことのプランはまだありません。私はフレキシブルな性格なので、時間が許せば何でもやってみたいです。でも、チャンスがあれば、行く先々の都市で一番美味しいラーメンを食べてみたいです(笑)。
まだライブしたことない場所でライブをして色んな人に会いたいですし、日本の森は美しく豊かなのでまた森のなかでライブをする機会も欲しいですし、KIKIがまだ行ったことのない地域にも行きたいです。

 

Non: また松本に行きたいです。美しく雰囲気が良く、水がきれいで、さらにカエルもいます。
※カエルはKIKIのマスコットキャラクター

 

Boss: 新曲、新アルバム、そして以前よりも強烈なライブを引っ提げて戻ってきます。次回は全箇所でラーメンハントを目指します。それぞれの地域で味が大きく異なるからです。

 

 

最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

Helen: 皆さんからの声援や愛に感謝します。私たちの音楽を好きになってくれる人がこんなにもいるなんて夢のようです。皆さんからの声援は、皆さんが思っている以上に、私たちの情熱を燃え上がらせる燃料となっています。
良い作品を作り続け、近いうちに聞いてもらえるよう、努めていきます。今年の年末までにはセカンドアルバムからのシングル曲をリリースできると思います。私たちのことをフォローしておいてください。
皆さんに無限の感謝と愛を。JAPAN YOU ARE SAIKO!!!!!

 

Non: 来年にはニューアルバムをリリースする予定です。また日本でお会いできることを楽しみにしています。

 

Boss: 日本のファンの皆さん、本当にありがとう。僕らはまだ始まったばかりの小さなバンドです。今回の日本ツアーで、たくさんのファンの方々と、そして、友情を得られました。作品を作り、ライブの精度を高め、日本ツアーに頻繁に行けることを願っています。
yabai japan !!!! We love u 💖💖💖

 

[Release Info]

KIKI / METAMORPHOSIS: FINAL STAGE

Rebel: BIG ROMANTIC RECORDS

Release media: 12inch

Release no: BRRCD-094

Release date: 2022年7月13日

Price: 3630円(税込)

 

Track list:

A side

01 Beginning

02 Metamorphosis

03 Back in the game

04 Don’t forget me

05 Can you feel my love?

 

B side

06 Inside my head

07 Without you

08 Next to you

09 Harder

10 I am

11 Other Side

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