コザの天ぷら【コツのいらないアジア音楽】VOL.14
アジアの現地で日本語で歌うアーティスト、いる?いない?

会社の歓迎会で行ったカラオケでエルビスプレスリーを物まねしながら流暢に英語詞を歌う会社のおじさんに関心したり、フジロックやサマーソニックの出演発表で海外アーティストが発表されるたびに賑わうSNS、洋楽や英語詞の楽曲がテレビCMタイアップやFMラジオ局レコメンドとしてメディアから流れることになんら違和感を感じず過ごしている。(そのため、最近の日本国内の洋楽離れがいまいちピンときていない私です)

話を元に戻します。好きなアーティストで、全編英語歌詞で歌う日本のアーティストを知っていますか?我こそ音楽好き!を自称する人だったら、何組か思い浮かぶバンドやアーティストがいるはず。

では、海外、アジアではどうだろう。公用語に英語がある国はヒットチャートを賑わす楽曲の大半が英語詞なのは理解できる。近年はそれに加えNewJeansやLE SSERAFIMなどを筆頭とした第4次K-POP人気もあり、韓国語詞の楽曲もチャート上位で頻繁に目にするようになって久しいが、それぞれの国の公用語…中国語・韓国語・タイ語・インドネシア語などのその土地のポップスももちろん健在だ。そんな中でもこだわりをもって、全編英語詞のオリジナル曲で活動するバンド・アーティストはいることは想像に容易い。

ーだとしたら、アジアの国で、オリジナル曲を日本語歌詞で作り、活動するアーティストがいてもいいんじゃない??いる?いない?ー多くはないけれど、意外といるのです。

ということでコザの天ぷら第14回目は、アジア各国で日本語で歌うバンド・アーティストを3組ご紹介♪

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【コザ天14でおすすめするアーティスト】

▶ Mikan Hayashi  🇹🇼

▶  KACHISAN까치산  🇰🇷

▶ EXRUST  🇮🇩

【アジアで日本語で歌うアーティストをチェックするメリット】

▶ 日本語歌詞なので、楽曲に感情移入しやすい

▶ 日本国内でライブや音楽フェスティバルで観るチャンスが(他の海外アーティストに比べ)多い

▶ まわりの邦楽好きの友達におすすめしやすい

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それでは、いってみましょう♪

Mikan Hayashi

台湾で日本語で楽曲をリリースするバンド ゲシュタルト乙女のボーカルとしても活動するボーカルのMikan Hayashiのソロワークス。彼女は両親の影響で日常的に日本文化や日本語に触れる環境で過ごし、中国語で歌うよりも日本語で歌う方がしっくりくると、全ての楽曲、日本語で歌詞を書き活動を行う。台湾のバンドが日本語歌詞で楽曲をリリースする際の日本語訳のフォローや、資格を活かし日台アーティスト同士の通訳として立ち会うなど、ステージの表でも裏でも大活躍の彼女。

学生時代から、邦楽のアーティストの楽曲を好んで聴いていたと別のインタビュー記事で答えていて、Spotifyに本人がUPしている音楽プレイリストも、私の周りにいる音楽友達かな?と思うほど、J-POPや日本のインディーズのシーンにも精通。

 

 

 

本人のバンド、ゲシュタルト乙女名義と比較してもソロ作品はやや内省的な機微を感じる歌詞、非常にメリハリがついたメロディとサビの心地よさ、1番2番がはっきりとしていてJ-POP的な側面も楽しめる。2024年は、ゲシュタルト乙女初の日本全国ツアーで各地でライブが披露されるとのこと。アジア音楽の第一歩に、彼女のライブを第一歩にしてみては。

 

까치산 KACHISAN

韓国を拠点に活動するバンド、까치산 KACHISAN(カチサン)。過去に韓国語でリリースしたオリジナル曲から厳選したアルバム2024年3月に10曲(10曲?!)日本語でリリースした強者。

 

 

この楽曲は、中毒性のあるダンスロックチューン。日本国内の音楽フェスやライブハウスで観客が縦ノリでジャンプしている姿が容易に想像できる若さあふれるJ-ROCKを韓国で鳴らしている。

彼らが影響を受けたバンドとして挙げられているのはThe Blue Hearts、JUDY AND MARY、サザンオールスターズ。なるほど90年代J-ROCKに影響を受けていることが、どこか歌謡曲的な歌い節、前に出た特徴的なギターから感じることができる。

 

 

こちらの楽曲は、90年代邦楽ROCKの影響をふんだんに感じる青春チューン。爽やかで真っすぐに愛を歌い上げる。ひねくれたりこじれたりすることなく ストレートに相手への想いを綴るなんて、10代向けの恋愛映画を観るような気恥ずかしささえある。大人になり大分経た自分でも、学生時代のアオハルを思い出しキュンとしてしまう1曲。

 

EXRUST

最後に紹介するのは、インドネシアのジャカルタでメタル・ラウド・ハードロックを日本語詞で歌うビジュアル系バンドEXRUST。ビジュアル系バンド?!と驚く人も多いかもしれないが、日本のメタル・ラウドを得意とするビジュアル系バンドは海外進出に意欲的なバンドが多い。そういった日本のヴィジュアル系バンドの影響を感じるのがこのバンド。

 

ヴァース(AメロBメロ)はデスボイスで退廃的かつ破滅的に、フック(サビ)は透き通る高音の歌声で耽美的に、英語と日本語を織り交ぜるのは日本のそれらのバンドを踏襲しているかのよう。轟音のバッキングギター、重厚なドラムビートに思わずヘッドバンキングし、拳を降りあげたくなる楽曲。

今回はオリジナル曲を日本語歌詞で作り、活動するアーティスト・バンドを3組ご紹介。

日本のリスナーからしてみると、日本語で歌われることで聴くハードルがぐっと低く、普段の生活シーンの中でも機能する楽曲が多いと思うので、日本語でアジアの音楽を楽しむ、という切り口からチャレンジしてみては?

 

筆者紹介
サクライアヤコ :沖縄本島やんばる在住。アジア圏のインディペンデントな音楽を愛聴する、コラム・エッセイスト。
Instagramにて、邦楽アーティストとアジア圏のアーティストのコラボ(コライト)曲に特化した楽曲レビューを不定期更新中 。

 

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