Echo "それこそが狙いです。観客も一緒に参加して楽しむ。それを野人祭SAVAGE FESTIVALのカルチャーとして打ち立てていきたいのです。実は、初日の段階でとても好評で、ぜひもうひとつの音楽フェスティバル浪人祭Vagabond Festivalでもやって欲しいと声をかけられますが、「絶対にやらない!」この楽しさは野人祭SAVAGE FESTIVALだけのものです"
少しいたずらっぽく微笑むEcho。さらに話は続く。
Echo "これは私にとって実験・チャレンジでもあるのです。1つ1つがそのフェスティバルに合わせた“作品”なので、規模・知名度で勝る浪人祭Vagabond Festivalであろうと、移植する予定はありません。これらの作品はリリースしたら今回限りではなく、どんどん進化発展させてより面白い企画にしていきたいという想いがあります。”
S "カーニバルはまだ完成形ではない?(こんなに楽しいのに⁈)"


観客参加型のアクティビティ。音楽フェスなのにアクティビティ申し込みにも観客が殺到する
フェス中には、カーニバルだけではなく、アーチェリーの矢で敵陣のチームを攻撃しつつ、矢をゴールポストへ投げ打つことで勝敗をかける萬箭穿心・弓箭大賽や、個人戦・団体戦で行われるチャンバラ大会 一劍入魂・劍術對など様々な観客参加型のアクティビティが用意されており、どのアクティビティも、観客は我先にと申し込みが殺到。トーナメント表は瞬く間に埋まり受付を終了していた。
Echo "もちろん!これからもっと進化していきます。カーニバルへの参加を含めた新しい発見ーそれは海外アーティストを見る機会を提供することであったり、自主的に観客がアクティヴィティに参加することだったり、そして何より、音楽の面の軸となる沢山のインディーズバンドの音楽と観客が出会えるように、様々な発見を作っていく場として大切にしていきたいと思っています"
Echo "音楽フェスティバルには(ライブハウスとは違い)必ず観客がいます。"
S "これは自戒も込めてですが、日本の音楽シーンは新しい音楽を求めるリスナーのパワーダウンと言うか、既存のものの中で満足してしまっている音楽愛好家がすごく増えている気がしています。新しい音楽を積極的に体験したがっている台湾の音楽愛好家の姿をどれだけ鮮明にイメージしていますか?"
わずかに表情が曇りながらも、ありのままを伝えようとしてくれます。
Echo "10年ほど前、印象的だったのは2015年です。その当時の台湾の音楽リスナーは自分自身がどんな音楽が好きなのだろうと、ゼロベースで新しい音楽に触れていて、勢いがありました。ですが、やはり近年は日本と同様、好きなバンドしか聴かないという傾向を現在の台湾にも感じています。私が音楽祭を主催する目的は、好きなバンドを見るついでに、他のステージでインディーズの新しいアーティストに出会ってほしいという想いです。興行的には売れているバンドだけで揃えることも出来るでしょうが、私は新しい音楽と出会ってほしいという想いが強いので、浪人祭Vagabond Festivalや野人祭SAVAGE FESTIVALのような独特なラインナップになっていると思います。売れている・ポップなバンドも一定の割合でブッキングしますが、観客に新しく出会ってほしいアーティストにも(他の音楽フェスティバルと比較しても)かなりの割合で出演してもらうのはそういった理由です。機会を作ることでその新しい音楽との出会いのきっかけにしてほしい。これから羽ばたくバンドに目を向けてもらいたい、という気持ちをモチベーションにしています。"

TOSH(band set)

今年1月沖縄で開催されたMusic Lane Festival Okinawa 2025で見いだされ、当フェスへの出演が決定した沖縄のTOSH(band set)と日本のJohnnivan
S "浪人祭Vagabond Festivalや野人祭SAVAGE FESTIVALが愛される理由のコアな部分を知ることができた想いです"
Echo "高校生の時からインディースバンドを聴き始め、30代になった今、インディーズバンドの灯を消さないために、自分の青春を捧げたインディーズバンドへの熱い想いを、若い世代の観客に届けること、台湾の音楽フェスティバル業界に身を置く自分にとって責務だと思っています。若いインディーズバンドは(ご存知の通り)すぐにはライブハウスで単独公演はできません。ですが、音楽フェスティバルは違います。必ず観客がいます。多かれ少なかれお客さんがいれば、聴かれるチャンスは必ずあるんです。"
2日間のフェスティバル期間中、彼は会場の至る所で観客からの呼び止めに応じツーショットで写真に収まり、歓談する。適当にあしらうこともせず、話す相手の真正面に据えて立ち、自分のフェスティバルにかける想いを一人ひとりに伝える。その姿を本当によく見かけた。多忙な音楽フェスティバル主催者らしからぬ、友達のような親しみやすさ、人となりも含めて、沢山の聴衆が彼の想いにも同調し、惹かれてここに集まるのだと感じた。ここで、1つエピソードを紹介しようー昨年の台風に伴うフェスティバル延期の告知、それが行われたのは、なんと前日深夜の日付が変わる直前!開催数時間前だった。日本国内だとしたら炎上しそうなこのギリギリの判断、このとき、炎上どころか彼のSNSのコメント欄は応援のメッセージであふれかえっていた。

チケット購入を呼び掛けるEcho
そんな彼は今回、チケット販売不振を察知し、開催ギリギリまで自ら現場でメガホンを持ち呼びかけた。楽しいばかりではない主催者の「困った」「助けて」も包み隠さず曝け出す姿と、彼のため一肌脱ごうと協力するたくさんの音楽愛好家の姿。その様子は日本のフェスティバルではなかなか目にするものではなく、とても新鮮に映った。
Echo "私は、自分の想いをチームや仲間に伝えることが、得意です"