【Interview / インタビュー】“Okinawan Divas” 安富祖貴子・石嶺聡子・高良結香・普天間かおり vol.1「パンデミックをくぐり抜けるために」

パンデミックの長いトンネルに、音楽で光を当てる。

安富祖貴子、石嶺聡子、高良結香、普天間かおり。沖縄出身の4人の個性豊かな女性シンガーによるプロジェクト、“Okinawan Divas(オキナワン・ディーヴァズ)”。これは、約2年にわたってパンデミック下にある世界に、音楽で光を当てるという新たな試みでもある。
コロナ禍で、エンタメ業界が大きなダメージを受けたことは周知の事実だ。もちろん4人の歌い手も同じような苦境に見舞われた。
2022年3月21日に、沖縄市のミュージックタウン音市場で開催する“Okinawan Divas”2002の公演に向けてたインタビューシリーズの第一回では、彼女たちがどのような想いでコロナ禍の日々を過ごしてきたのかを聞いた。

(取材・文:編集部)

 

高良結香
“世界中がこんなにつらいときに、
音楽をシェアするということは必要なこと“

高良結香 / Yuka Takara

「私は沖縄にいるんですけど、緊急事態になるとライブができない状態が続きます。普段は月に一度、那覇の”Sound M’s”というライブハウスでライブと配信をやっているんですけど、お客さんはなかなか来てくれませんね。でも、音楽が好きだし、月一のペースでやるのは、自分たちのためでもあるんです。
自分は、人生の半分以上は海外にいて、外国の友達も多いので、配信ができるようになったことは、とてもプラスだと思っています。ニューヨークや、ロス、ハワイ、ニューオーリンズ、カナダ、東京、もちろん沖縄からも見てもらえています。
Sound M’sからのライブ配信はYouTubeを使って無料でやっています。お金の面は厳しいですが、自分も音楽にいっぱい助けられてきましたし、今、世界中がこんなにつらいときに、音楽をシェアするということは必要なことだと思います。みんな家にいないといけないし、入院したり、亡くなる人もいます。月に一度、俺たちが楽しくやっているのを世界に届けられるのであれば、それは無料でもいいと思ってやっているんです」

高良結香 / Yuka Takara
 那覇市出身。2001年、ニューヨーク・ブロードウェイでミュージカル『Mamma Mia』の舞台に立ったのをきっかけに
『Flower Drum Song』『太平洋序曲』(演出:宮本亜門)などに出演。16年ぶりにブロードウェイで再演された
『A Chorus Line』(2006)、人気ミュージカル『RENT』(2007)に出演。日本では、沖縄発で音楽活動も積極的
に行っている。ブロードウェイ仕込みのヴォーカルの力強さと繊細さ、抜群のリズムのセンスが凝縮して詰め込ま
れていると評価も高い。沖縄発で音楽活動も展開。アルバム3枚、シングル2枚を発表、ライブ活動や後進の指
導も積極的に行っている。
instagram.com/yukajamz

 

石嶺聡子
“お客さんを目の前にして歌を歌えるということが、
どんなに素敵なことか、改めて感じた“

石嶺聡子 / Satoko Ishimine

「去年、今年と、例えば、半年前にいただいたお話でも、日々状況が変わっていく中で、飛んでしまうことは珍しくありません。自分が企画するにしても、いただいた話でも、こんなに状況が変わるということが初めてで、驚きの連続なんですけど。
コロナ禍になって、今の瞬間がとても大事なんだということに、すごく気づかされました。本当に会えるときに会わないと。自分の持っている価値観とかも、より深くなりましたし。
ライブ配信という形が増えてきたときに、ちょっと気楽にやってみようかなと思って、参加もしてみたりもしたんです。でも、(普天間)かおりともいろいろ話したんですけど、手渡しで音楽ができるって、やっぱり、最高なことなんだなって。お客さんを目の前にして歌えるということが、どんなに素敵なことかということを、改めて感じましたね」

石嶺聡子 / Satoko Ishimine
那覇市出身。1994年『土曜日とペンと腕時計/風を感じたい』でデビュー。3枚目のシングル『花』が大ヒット。
第46回NHK紅白歌合戦に出場。
2017年、沖縄在住のプロデューサーMizukiとのクラブミュージックを軸とするプロジェクト ”Okinawa Delays 
Feat. Satoko Ishimine”に参加、『NariyamaAyagu/Vibration』を イギリスのレーベル ”Claremont56”
から発表。
2018年、デンマークのバレアリック最大レーべル ”Music For Dreams”とから、ニール・ヤングのカヴァー
『Lotta Love』リリース。ダンスミュージック世界最大の配信サイトJuno Downlordのバレアリック部門で、40日
間に渡りチャート1位に。その豊かな表現力で新たな音楽性を発信、進化し続けている。
http://www.satokoishimine.com/

 

安富祖貴子
“いつでも前に進めるようにという気持ちをなくさないように”

安富祖貴子 / Takako Afuso

「私は、ピアノの櫻井萌さんと、那覇の”Blanc de Blanc”という店で定期的に歌っているんですけど、緊急事態宣言が出て、歌えなかった時期が2回ぐらいありました。そういうことに、凹んだりもしたんですけど、いつでも前に進めるようにという気持ちをなくさないようにしていました。ライブがやれたとしても、こういう状況ですから、人数制限も時間の制限もありますし、お客さんもさほどは増えません。そういう中でも応援に駆けつけてくれる人たちがいることが、すごく支えになっていますね。
いろんな葛藤を抱えながら、ライブ配信を試したり、逆に”普段の自分たちでいいや”って思ったり。音楽って、やっていないと忘れていくのもたくさんあるし、コロナもいつまで続くのかわからないですからね。とにかく音楽を届けるということに常に必死な感じですね。みんな難しい境遇に立たされて、なかなか思うようにも動けない中でも、日々自分なりに音楽と向き合うようにしています」

安富祖貴子 / Takako Afuso
 金武町出身。2006年、1stアルバム『魂/Kon』を発表。その歌声から50年に1人のジャズ・ヴォーカルの逸材と
言われ、スイング・ジャーナル誌選定ゴールド・ディスクを獲得。同誌選定の2006年「ジャズディスク大賞」で制
作企画賞、ニュースター賞、ADLIB誌”アドリブ・アワード”「’06国内ニュースター賞」受賞。 2007年、2ndアルバ
ム『マブイのうた』発表。 ADLIB誌”アドリブ・アワード”「’07国内R&B/ヒップホップ賞」受賞。 2008年、ニューヨ
ーク録音の3rdアルバム『Hallelujah~summer of ’86~』発表。前作に続きADLIB誌”アドリブ・アワード”
「'08国内R&B/ヒップホップ賞」受賞。 2012年、6作目のアルバム『マイ・ブルース』発表。
沖縄を拠点に積極的にライブ活動を行っている。

 

普天間かおり
“歌うことの意義や、絶対に音楽が必要だと信じる気持ちが強くなった“

普天間かおり / Kaori Futenma

「(コロナ禍)長いですね。私も、去年は中止、延期でことごとく歌えなかったんです。自分がやっていることは良くないことなのかなという気持ちになって。震災のとき“音楽はちょっと不謹慎なのかも”という感情が生まれました。今回、全然違うんですけど、震災のときを思わせるような、大きな出来事だと感じています。
私の周りも、こういう時だから曲作りをしようとか、配信をやろういう話になるんです。前向きにやらなきゃいけないし、自分もそういう気持ちはあるんだけど、そこに行けない、受け入れられないんですよ。簡単に、”じゃあ、それは置いといて”とはいけない性格もあって、ずっと家に引きこもって、心も引きこもるという、そういう1年でした。
でも、そういう中で、私自身は福島でラジオのパーソナリティを続けさせてもらっていて、1年半、リモートだったんですけど、それですごく救われました。みんなとつながっているということが感じられて、とても励みになりました。
オリンピックのキラキラした世界の一方で、苦労されている方もたくさんいる。そのどちらにも思いを膨らませることで、今までの自分にない視点を得られたと思います。
この”Okinawan Divas”につながることもそうなんですけど、よりリアルになったというか、世界中にコロナで亡くなる人もいるし、コロナ以外で亡くなる人もいる。コロナで立ち行かなくなる人もいるし、そこで儲ける人もいるかもしれない。でもその中で本当に大事なものは何なのかとか、自分にたくさん問いかける時間をもらえたと思います。
やっと最近、コンサートができるようになって、私も、歌える喜びをもう一回かみしめる機会をもらえている中で、今まで以上に、歌うことの意義や、絶対に音楽が必要だと信じる気持ちが強くなった気がします」

普天間かおり / Kaori Futenma
中城村出身。透明感あふれる歌声は、ライブ活動を通して老若男女問わずに浸透している。ラジオ福島「かっと
びワイド」の生放送中に東日本大震災に遭う。その後「Smile Again 0311」支援プロジェクトを立ち上げ、避難
所でのライブやチャリティー公演などを開催。音楽の枠を超えて様々な分野の人とのつながりを通して支援の輪
を広げている。2016年には、こまつ座制作の「木の上の軍隊」(新宿紀伊國屋サザンシアター)に出演した。
2019年には、初の歌詞集「コトバ、オドル。」を発表。2020年8月には、首里城再建応援アルバム「暁〜美ら美ら
(ちゅらぢゅら)」をリリース。
http://www.futenma.net/

(続く)

 

◎イベント・インフォメーション

▶︎Live At Home from Koza City
“Okinawan Divas” 2022
安富祖貴子・石嶺聡子・高良結香・普天間かおり

日程:2022年3月21日(祝・月)
*1月30日(日)の延期公演
会場:ミュージックタウン音市場(沖縄市上地1-1-1 3F)
時間
<昼の部:招待公演>
開場13:00 開演13:30
*昼の部は沖縄市の親子向けの招待公演。

<夜の部:通常公演>
開場17:00 開演(ライブ配信スタート)18:00
◎通常チケット
全席指定 一般前売4,000円 当日4,500円
高校生以下前売1,500円 当日2,000円
*要1ドリンクオーダー

<プレイガイド>
ミュージックタウン音市場/桜坂劇場(那覇)/イープラス・ファミリーマートローソンチケット(Lコード84217)
チケットぴあ(Pコード:206-607)・セブンイレブン

◎サスティナブル・シート
 〜昼の部の親子向け招待公演を支援する特典付きサポートチケット〜
詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.otoichiba.jp/news/okinawandivas_sustainable-seat/

◎ライブ配信チケット:2,500円
<プレイガイド>Peatix(下記リンクから購入いただけます)
https://peatix.com/event/3040181/

【駐車場6時間無料】
ミュージックタウン音市場3Fホールでの、イベント・映画上映に来場のお客様は、音市場の駐車場が6時間無料
になります。駐車券を受付までお持ちください。
*満車の際は適用されません。ご了承ください。


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開催に当たっては、沖縄県の新型コロナウィルス感染拡大防止の最新のガイドラインを遵守の上、感染拡大防
止対策を実施して開催します。検温・マスク着用・手指消毒・ソーシャルディスタンスの確保等にご協力ください。
37.5度以上の発熱のある方、体調不良の方はご入場いただけません。

問合せ・電話予約=ミュージックタウン音市場 098-932-1949

主催:沖縄市・ミュージックタウン音市場

 

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