めくるめくタイインディーズの世界
第13回「Music Lane Festival Okinawa 2023」参加レポート 前編

 

3年ぶりの沖縄、初めてのコザ。2023年2月17日~2月19日の3日間、沖縄のコザにてインターナショナルショーケースフェス「Music Lane Festival Okinawa 2023」が開催された。海外・国内からデリゲーツ(音楽関係者的な意味合い)やバンドを呼んでの、実に3年ぶりのフルスペック開催。出演者から海外進出についての相談を聞く1on1ミーティングや、デリゲーツによる音楽業界事情についてのトークライブなども催された。

 

 

僕もタイからのデリゲーツとしてお招きいただいた。久々に現地参加のMusic Lane。タイに紹介できる良いバンドを発見して、1on1ミーティングで相談受けて、人生最初で最後のDJやって、トークライブで思いの丈を喋って、タイのバンドのお世話して、知り合いを知り合いに紹介して、自分もネットワーク広げて、と、分刻みで進んでいく3日間。結果、新たに50人くらいの音楽関係者(ミュージシャン含む)と知り合えた。多くの初めましてと、多くのお久しぶりですと、多くのまた会いましょうに恵まれた。

当コラムでは、Music Laneを含めたショーケースフェスへの参加に興味のあるバンド・アーティストの方に向け、「こういう雰囲気のイベントなんだ」「こういう人と会えるんだ」「こういうチャンスが得られるんだ」というのをなんとなくでも掴んでもらうため、自分が体験したことを記しておこうと思う。これを読んで「自分もMusic Laneやショーケースフェスに参加してみよう」と思ってもらえれば幸い。

※中編・後編はこちらより

めくるめくタイインディーズの世界第14回「Music Lane Festival Okinawa 2023」参加レポート 中編

めくるめくタイインディーズの世界第15回「Music Lane Festival Okinawa 2023」参加レポート 後編

 

※ショーケースフェスについての概要、準備することなどについてはこちら参照

めくるめくタイインディーズの世界第12回「ショーケースフェスティバル参加の心得」

 

2月17日

ウェルカムパーティー

コロナ以前はバンコクから沖縄の直行便があったのだが、「Music Lane Festival Okinawa 2023」開催時は、バンコクから沖縄の直行便は復活していなかった。なので、バンコクから東京を経由し沖縄へ向かうことに。沖縄へ向かう機中、ずっと大声で泣いてた少年が、到着するなり泣き止み「青汁飲みたい」って上機嫌でおねだりしてた。

 

 

那覇に到着しMusic Lane主催の野田さんに再会。イベントの準備が大変なのであろう、全身から疲労が滲んでいた。

同じ時間帯に到着したフィリピンからのデリゲーツMC Galangとタクシーに乗ってコザへ。タイとフィリピンのSNS利用状況やライブ事情、フェス事情などを情報交換していると、あっという間にコザに到着。

 

到着して間もなく、今回のメイン会場となるミュージックタウン音市場にて開催されているウェルカムパーティーに参加。久々に会うMusic Lane実行員会の皆さんや、各国のデリゲーツとしばし歓談。

今回、デリゲーツは各国から15名ほどが来日。ただ、どこかでMusic Laneの話を聞き付けた音楽関係者が多く参加しており、僕が認識しているだけでも10人以上は参加していた。デリゲーツと同じく、新たな才能を探しに来ていたり、アジアとの繋がりを求めに来ていたり、前のめりな姿勢で参加していた。

 

 

パーティーでは、野田さんがデリゲーツ一人一人を紹介しつつ、デリゲーツ全員から参加者に向けて一言ずつメッセージを伝えるというセッションが設けられた。他のデリゲーツが喋ってる間に、「何を言おうかなぁ」と考えていた。他のデリゲーツが喋っているのをよくよく聞くと自己紹介をメインにしているようであった。なので、僕は自己紹介はそこそこに、どういう心持ちで参加するのがいいか、自分なりの解釈を伝えることにした(自己紹介するのは全く間違ってないし大切。どのデリゲーツがどの国のどの分野に強いかが分からないと、誰に対してコミュニケーションを取りにいけばいいか分からないしね)。

「Music Laneはチャンスを掴むためのチャンスの場。皆さんの精一杯のライブをデリゲーツに見せ、果敢に話しかけ、チャンスを掴んで欲しい」みたいなことを言った記憶がある。

その後はパーティーに参加されている方々とご挨拶。タイにもアーティストを送り込みタイ進出に本気で一歩を踏み出しているSonyチームの皆さん、アジアの音楽にもアンテナを張りばっちり抑えてるSpotify Japanの方、Music Laneの直前までバンコク・チェンマイツアーを敢行していた日本のバンド「Delicious Grapefruits Moon」の皆さん、江戸川大学社会学部経営社会学科教授でアーティストのマネジメントもしている関根直樹さん(日経クロストレンドにて「Music Lane Festival Okinawa 2023」について寄稿されてます)、演者でもあるが今回は雰囲気を見に来たシンガソングライターのマーライオンさん、などなど。そしてプログレッシブバンド「downy」で沖縄在住のロビンさんもパーティーに来てくれてて久々にお話しできた。Music Laneにアーテイストとして参加している「Herbert Hunger」の曽我さんを紹介いただき、タイの音楽事情などについて話をしていた。

 

パーティーが終わり、さて、適当にご飯でも食べて帰るかな、と会場を後にしようと思ったら、世界の音楽フェスを紹介している「Festival Life」の津田さんにお声がけいただき、著作の「THE WORLD FESTIVAL GUIDE」をいただいた。関西最大級の無料のローカルフェス「GREENJAM」の大原さんも一緒に参加されてて、しばらく立ち話をしていたのだが、その日は風が強い日で、立ち話中に右7左3で分けてる僕の髪型が右1左9になるほどだったので、もうちょっとゆっくりと話ができる飲み屋へちょろっとだけ一緒に飲みに行くことにした。アジアにおける日本の音楽の立ち位置について有意義な話ができた。

7年ほど前から日本の存在感(特に音楽)がアジアで相対的に薄れ始めてること、コロナ禍でその流れが若干止まったこと、とはいえあと3~5年(世代交代の期間)で取り返しつかない状況になりそうなこと。

今までも機会があれば、そんな危機感を多くの人に方々で共有してきた。Music Laneの前進であるTrans Asia Music Meetingでも、福岡で開催されていたFukuoka Asian Picksでも、音楽業界の方と会う度、そんな話をしてきた。危機感は伝わるものの、とはいえ、まだ日本国内でビジネスが成立するから、なかなか本腰入れて動けない。ただ、そうこうしているうちに、アジアの他の国々は手を取って輪になっており、そこから日本は取り残されている。世界が用意するアジアの席に、日本が座れる席はなくなる。そんな状況がここ3~5年で表面化すると思ってる。

コロナが止めた時は、2023年、堰を切ったように勢いよく動き出している。堰き止められていた期間に練られた計画が勢いよく噴出されている。次々と世界に打って出ている。さて、では、日本は?

日本の音楽の賞味期限はあと3~5年。そんな危機感を共有できる仲間がまた増えた。これからどうしていくか。夕飯のことは忘れていた。

 

※本日の夕飯 (AM 1:13)

 

※Music Lane連載との連動プレイリスト「めくるめくタイインディーズの世界」も合わせてどうぞ。

 

■執筆者紹介

Ginn

タイ・バンコク在住15年。タイ人メンバーと結成したポストハードコアバンド「Faustus」で自身でも音楽活動をしつつ、日本とタイのインディーズシーンを支援するためのレーベル「dessin the world」を主宰。「日本の音楽をタイに。タイの音楽を日本に。」をコンセプトに、日・タイ音楽交流のための草の根活動をおこなっている。

 

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