タイでのシティーポップブームはすっかり一段落し、代わりにオルタナロックやシューゲーズなどを奏でるバンドが台頭し始めてきた。そんななかでも極々独自の路線を進むタイファンクバンド「FORD TRIO」。過去をなぞるのでなく、自分たちがやりたいことを突き詰めたらこうなった、と自然体で発せられる現代解釈のタイファンク。
今年11月3日にアジアのバンドを東京・渋谷に集めておこなわれたサーキットフェス「BiKN SHIBUYA」。日本、台湾、韓国、中国、フィリピン、シンガポールなどからアーティストが集結し、タイからも「Max Jenmana」、「Soft Pine」、そして「FORD TRIO」の3組が参加した。
確かなスキルに裏付けされた圧倒的熱量のライブは、彼らを目撃した観客にしっかりと爪痕を残したことであろう。
彼らはBiKN以外にも東京都内で数本ライブをおこない、各所で結果を残してきた。
日本ツアー中、どのようなことを感じ、どのようなことが印象に残ったのか。ギターボーカル Ford、ベース Smith、ドラム Jamesにインタビューをおこなった。
来年の計画も着々と進んでおり、あと少ししたら日本のファンに朗報を届けられると思う。
インタビュアー、翻訳、文:Ginn (Faustus, dessin the world)
– 日本ツアーでは、ライブハウスでライブをおこない、音楽フェスティバルにも参加をしました。日本の音楽シーンに触れて感じたことはありますか?
Ford: スタッフの皆さんやオーディエンスの皆さんが、僕らのような小さなバンドを温かく迎え入れてくれて感動しました。フェスに出演していたバンドが、言語やジャンルに縛られずに多種多様で、日本の音楽シーンは懐が深いんだなと感じました。出演ラインナップを見たとき、僕らと同じように特徴的なバンドばかりだなと思いました。
James: 日本で演奏することができてとても嬉しかったです。新しい経験を得ることができました。BiKNで多くのバンドを見たのですが、日本のインディーズシーンには多様性があり、とても興味深かったです。皆それぞれ特徴がはっきりしてて、作曲活動やライブ活動を真摯におこなっているのだなと感じました。自分たちの活動について、もっと良くしていきたいという刺激をもらえました。
Smith: 日本ツアーに来ることができたのは、日本の音楽や漫画に影響を受けながら育ってきた自分にとって、思い描いてきた夢のひとつを実現できた気分です。ライブハウスのスタッフの皆さんのプロフェッショナルな姿、整備された機材、主催者と観客から感じる音楽文化、想像していた通り全てが素晴らしかったです。日本人は本当に音楽を愛しているのだと感じました。
– 共演した日本のバンドはいかがでしたか?
Ford: 思っていた通り素晴らしかったです。Helsinki Lambda Clubのボーカルの橋本薫さんとのコラボ曲「เปล่าเลย (なんにも)」も、ついに完全な形で再現できました(注:11月3日のBiKN SHIBUYA、11月6日の月見ル君思フ公演にて、橋本薫さんとのステージ上でのコラボが実現した)。今までこの曲をタイで演奏してきましたが、いつもより情熱的に、いつもより満たされた気分で演奏できました。観客の皆さんと同じく、自分自身も初めて全員が揃った状態での演奏を聴けて、また、皆さんの前で演奏出来たことがとても喜ばしいです。
※「เปล่าเลย (なんにも)」のレコーディングのため、Helsinki Lambda Club 橋本薫氏は訪タイしレコーディングをおこなった。その様子が本人によってレコーディング旅行記としてまとめられている。
【Tokyo / Bangkok】 橋本薫(Helsinki Lambda Club) バンコク レコーディング旅行記<前編>
【Tokyo / Bangkok】 橋本薫(Helsinki Lambda Club) バンコク レコーディング旅行記<後編>
James: ステージ前で他のバンドを観ているときも、ステージ裏で他のバンドと話をしているときも、とても感激していました。また、今回は日本の友人(注:Helsinki Lambda Club 橋本薫さん)とステージ上で共演することもでき、タイ語の曲を観客の皆さんとコール&レスポンスすることもでき、日本の皆さんと文化交流できた気がして最高でした。
Smith: 薫さんは、準備期間も短く、僕らとステージ上で共演するのは初めてだったのに、自然体で共演してくれて、とても楽しかったです。月見ル君想フでの共演では、Helsinki Lambda Clubはアコースティックデュオセットで出演してくれたのですが、熊谷太起さんのギターが美しく、ステージに上がった瞬間にロックスターになっててカッコ良かったです。
– 日本ツアーのなかで一番印象的なことはなんでしたか?
Ford: ライブハウスのスタッフのプロフェッショナルさに感動しました。自分たちの出番の直前、スタッフと僕らで一緒にカウントダウンをしてからステージに上がったのですが、ライブを良いものにするという同じ目的を持った同じチームになった気分でした。
James: Helsinki Lambda Clubの皆と再会できたことです。お互いそれぞれ異なる場所で活動し、久々に会ってお互いの近況を話し、付き合いの長い友人のように感じています。最終日、色々な話をしながら酔っ払って楽しい時間を過ごせました。帰らなきゃいけないのがもったいなかったです。
Smith: 江戸川区の平井に滞在できたことです。もし観光目的で日本に訪れていたら、恐らくここに滞在することはなかったでしょう。ここに滞在できたことで、荒川の土手をサイクリングして楽しむことができました。シンプルで閑静なこの地域が好きになりました。寄り道してサンワローランのパンを楽しんだり、少年野球を眺めたり、名前も知らない神社をお参りしたり、自分にとっての「Real Japan」を体験できたと思っています。
– 次回の日本ツアーの際には、どんなことをしたいですか?
Ford: ギターを買いたいです。
James: 日本で寿司を食べたいです。
Smith: またサイクリングを楽しみたいです。
– 最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
Ford: 今回のツアーで出会った全ての人に感謝を伝えたいです。これからも作品を作り続けていくので、是非、聴いてください。そして、もしあなたの住んでいる街の近くにライブをしにいけることになった際には、僕たちに会いに来てください。
James: 毎回、日本にライブをしにいけると決まったときには気分が高揚します。皆さんに楽しんでもらえるよう、もっと良いライブが出来るようにしていきます。僕らの音楽は、きっと言葉の壁を越えられると思いますし、皆さんにライブを楽しんでもらえると思っています。日本の様々な場所にライブをしに行きたいと思っています。
Smith: 僕らのバンドに興味をもってもらい、本当にありがとうございます。世界にはとても多くのバンドがいて、そのなかで僕らが出会えたのは、きっと偶然ではないと思います。良い曲を作って、自分自身を成長させて、また日本ツアーに戻ってきたいです。
FORD TRIO
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