【Interview】
Gong (H3F Vocals & Guitar)
タイの実力派ライジングスター、H3F。
新たな音楽の地平を切り拓き2度目の来日ツアーへ。

Gong (H3F Vocals & Guitar)/ April 2024 @ Bangkok

今年、タイの音楽アワード”T-POP OF THE YEAR”の、”BEST ARTIST OF THE YEAR”を受賞したH3F(エイチ・スリー・エフ)。タイのインディーズシーンでも突出した人気と実力を誇る彼らが、5月、沖縄・東京で、昨年9月以来となる来日ツアーを行う。
昨年リリースされた3rdアルバム “Chalawan Sound”では、70’sクラシックロック、サイケデリックシューゲイズ、リズミックソウルの要素を凝縮し、さらなる進化を遂げたサウンドに仕上がり世界から注目を集めている。

最高気温40度、「屋外での活動を制限するように」というアナウンスの出た灼熱のバンコクで、Gong(Vocals & Guitars)に話を聞いた。

取材・文:野田隆司 / Ryuji Noda (Music Lane Okinawa / Music from Okinawa)
翻訳:Ginn (Faustus / dessin the world)

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Sublimeの曲を聴いて
音楽に目覚める。

「小さい頃から、親が家で流している音楽を聴いて育ちました。1990年代〜2000年代のタイポップスがメインです。13歳の時に、親の薦めでインドに1年ほど留学したのですが、その頃に兄のCDでいろいろな音楽を聴いていました。中でもアメリカのSublimeの“Boss D.J.”というアコースティックなアルバムが好きでした。これを聴いて音楽をやりたいと思うようになったんです」

 

メタルから広がっていった
音楽の可能性。

「14歳でインドから帰国して、クラシックギターを習い始めました。でもこれは長く続かずに挫折しました。高校に入るとメタリカとかを通して、メタルに興味を持ちました。
メタルに目覚めて、自分で曲を聴いて耳コピをして、Guns N’ RosesやMr. Bigのポール・ギルバートの曲をエレキギターで練習するようになりました。その時はまだ人前で歌ったことはなかったです。ただ、通っていた音楽学校でギターのコンテストがあって、エレキギター部門で出場したことはありました。その時は第三位でした。もっとも出演者も3人だけだったんですけど。(笑)
メタルを聴いてギターをやりたいと思いましたが、いろんな音楽を聴く中で、やりたい方向性も変わっていったと思います」

 

音楽キャリアはブルースを演奏するバーバンドから。

「バンドは大学に入って始めました。Penny Timeというバンドでギターを担当しました。これはオルタナロックバンドで、Daniel Ryn(Music Lane Festival Okinawa 2023に出演した)がボーカルでした。
H3Fを始めたのは、大学3年の時です。私は歌とギターをやるようになりました。H3Fは、もともとバーでブルースのカバーをやろうと話してできたバンドです。友人と3人で始めたのですが、私がリーダーというわけではなく、結成を後押しする役割でした。
バーのオーディションを受けるときにバンド名が必要だということで、”Happy 3 Friends”とつけたんです。この頭文字をとって”H3F”になったのは、最初のEPをリリースした時ですね。
ブルースのカバーをやっていた時から、オリジナルの指向はありました。演奏を続けるうちに、少しずつ、ギターだけでなく、歌にも楽しさを見出せるようになりました。さらに歌詞を書くことにも興味が湧いて、自作を書くようになったんです」

 

1st.EP「Cheesy Lyrics, Sloppy Groove,」は、2018年のリリース。その後発表されたデビューアルバム“Family Product”は空前の大ヒットに。中でも、シングルカットされたチルな大名曲”How Can I”は、YouTubeで600万回再生されるなど、多くの国内外のインディーファンの間で知られる事となった。

 

スタジオでのジャムから生まれた
最新作”Chalawan Sound”。

「H3Fの曲は、2ndアルバムまでは、基本すべて私が曲の骨組みを作っていました。制作は、1st.EPの”Cheesy Lyrics, Sloppy Groove,”から、2ndアルバムの”UNEMPLOYMENT”までDIYです。
”Chalawan Sound”以前は、私が曲の骨組みをスタジオに持っていって、メンバー全員で肉付けをしていました。今回、”Chalawan Sound”では、最初からスタジオでジャム形式でやりました。セッションをする中で、それぞれの良いフレーズを拾い集めていくんです。ジャムをしながら、曲作りをするのは楽しかったですね。何かしらの目標に向かうというよりも、自分たちらしくやろうとする中で、こういう形ができたと思います。
このやり方で曲を作ると、ライブにもすごくいい影響がありますね。カバー曲から始めて、ライブを重ねて生演奏で鍛えられてきたので、メンバーそれぞれから生まれてきたエッセンスが良い形で凝縮される感じなんです」

海外でのライブは、
より自分らしく演奏できる気がする。

「ライブの本数は平均すると月に4〜5本ですが、年末のタイのフェスシーズンには、月に10本になることもあります。でも、私たちの曲は英語曲なので、タイ国内でライブに呼ばれる枠が限られていると思ってます。
その一方で、海外で演奏する機会は増えています。2022年12月の台湾ツアーが初めての海外公演でした。去年は、日本、台湾、シンガポール、香港にいきました。今年は、韓国、台湾、そして日本でのライブが決まっています。
国外でのライブは、少し気持ちが違ってきます。自分らしく演奏できるような気がするんです。タイではライブ目当ての人以外に、お酒を飲みに来る人もいます。海外でのライブは、演奏をしていて心を開いてもらえているという実感があります。自分らしく演奏することでお客さんとコネクトできるように感じるんです」

H3F @ AXEAN Festival @ Singapore (October 2023)

 

初めての沖縄について。

「今回が初めての沖縄です。沖縄で知っていることは、自然が美しいことと、沖縄料理が美味しいことです。まずは着いたら沖縄料理を食べに行きたいですね。バンコクにある“金城”という沖縄料理店には、時々行っているので、楽しみです。
去年、初めての日本でのライブの時は反応が不安だったんですけど、暖かく迎えてもらえました。沖縄でまた多くの皆さんにお会いしたいですね」

 今回の日本ツアーは、ホーンセクションを含めて7人編成という大所帯。H3Fの、最も旬の充実したサウンドを届けてくれる。タイを中心に東南アジアで高い評価を得ている彼ら。その高い音楽性を実感できるライブになるはずだ。


<H3F Japan Tour 2024>

5/25(土)「Okinawa-Asia Music Frontline Vol.4」那覇・桜坂劇場ホールA

Okinawa-Asia Music Frontline Vol.4H3F(タイ)/ キセル / Kinami / 安次嶺希和子 / G.Yoko

 

5/26(日)「Inspiration Okinawa 2024」 コザ・ミュージックタウン音市場

INSPIRATION OKINAWA 2024インスピレーション オキナワ 2024

5/27(月) H3F live in Tokyo with Helsinki Lambda Club 東京・青山月見ル君想フ

 

 

 

 

 

 

 

https://www.bigromanticrecords.com/single-post/h3f2024

H3F(エイチ・スリー・エフ)Bio

H3Fはブルース、R&B、ソウル、ファンク、そしてポップスをほどよくミックスし、時にチルに、時に骨太に鳴らすスケールの大きな楽曲が人気のバンコク出身の4人組バンド。
2018年にリリースしたデビューEP”Cheesy Lyrics, Sloppy Groove,”がタイでスマッシュヒットとなり、その後リリースしたデビューアルバム“Family Product”が空前の大ヒット、シングルカットされたチルな大名曲”How Can I”はYoutubeで600万回再生されるなど、多くの国内外のインディーファンの間で知られる事となった。
2022年にセカンドアルバム”UNEMPLOYMENT,”、そして2023年には待望のサードアルバム“Chalawan Sound”をリリース。
70’sクラシックロック、サイケデリックシューゲイズ、リズミックソウルの要素をまとい、さらなる進化を遂げたサウンドに世界から注目が集まっている。
2024年5月、那覇・コザ・東京で、2度目となるJAPAN TOURを行う。

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